2023年以降、新しいブロックチェーンとして急速に注目を集めているのがSUIチェーン(SUI Network)です。高速処理や低い手数料といった特徴を持ち、NFT・DeFi・ゲーム分野など幅広い領域で利用が広がっています。本記事では、SUIチェーンの基本DEX「Scallop」での取引体験トランザクションの確認方法損益計算とクリプトリンクへの登録といった内容を実際の体験をもとに解説していきます。「SUIチェーンとは何か?」を知りたい方や、「実際に取引したら取引データはどう見えるのか」「損益計算はどうやるのか」が気になっている方にとって参考になる内容です。ぜひ最後までご覧ください。この記事の要約SUIチェーンとは:高速・低手数料の次世代ブロックチェーンで、NFTやDeFiに対応Scallopでの取引:スワップ・貸出・借入を体験し、各トランザクションをSUI Scanで確認損益計算のポイントスワップ:支払ったトークンの取得原価と受け取ったトークンの時価との差で計算貸出:貸出自体は損益は発生しないが、利息などを受け取る場合には受けとった通貨の時価換算した金額が所得として計上される借入:借入自体では損益は発生しないが、返済時に利息を払った場合、その部分が損益となる一方、取引の過程で借入した通貨を現物資産と混在させて利用した場合には、利息部分だけを切り分けて扱うことが難しいため、注意が必要クリプトリンクの活用:SUIチェーンの取引を自動取得し、ペア選択で整理、正確な損益計算が可能SUIチェーンとはSUIチェーン(SUI Network)は、2023年に本格稼働した次世代ブロックチェーンです。Meta(旧Facebook)のブロックチェーン開発チーム出身者が立ち上げたプロジェクトで、独自のプログラミング言語「Move」を採用しています。最大の特徴は高速処理・低手数料・高い拡張性であり、NFTやDeFi、GameFiといった多様な領域での活用が進んでいます。SUIトークンとはチェーンの基軸通貨であるSUIトークンは、ガス代の支払いに利用されるほか、ステーキングや投票権(ガバナンス)としても機能します。2023年の本格稼働以降、国内外の主要取引所に上場が進み、現在では国内ではBITPOINT、OKJ、BitTrade、Binance Japan、bitbankなどで購入可能です。また、価格面でも注目を集めており、2025年9月18日時点で1SUIあたり500円台を推移しています。時価総額ランキングでも安定した上位を維持しており、暗号資産全体の中で15位に位置しています。これにより、単なる新興銘柄ではなく、既にグローバルな投資家から一定の信頼と流動性を獲得していることがわかります。SUIチェーンでできることSUIチェーンはDeFi(分散型金融)を中心に、次のようなサービスで活用できます。DEX(分散型取引所):中央管理者を介さずに暗号資産を交換できる(例:Scallop、Cetus、Turbos Finance)レンディング:暗号資産を貸し出して利息を得るボローイング:担保を差し入れて暗号資産を借り入れるNFT・GameFi:ゲーム内アイテムやデジタル資産の発行・取引DEXの種類SUIチェーン上には複数のDEXが存在しており、代表的なものは以下の通りです。Cetus:AMM(自動マーケットメーカー)型の代表的なDEXTurbos Finance:小額でも即時スワップできるAMM機能に加え、価格を指定した指値注文や板取引も利用できるのが特徴。シンプルなUIで初心者から経験者まで幅広く対応Scallop:スワップだけでなくレンディング・ボローイング機能も備えた複合型DEXBluefin:デリバティブ取引に強みを持つDEXで、先物やオプションといった高度な金融商品にも対応Momentum:新興ながら注目を集めているDEXで、独自の報酬設計やトークンインセンティブによってユーザー数を伸ばしているこのように、SUIチェーンは単なる「速いブロックチェーン」ではなく、取引・貸借・ステーキングなど多様な金融サービスを展開できるエコシステムとして発展しています。次章では、その代表的なDEXである Scallop を実際に利用し、スワップや貸出・借入の流れを体験してみます。Scallopで取引をやってみたSUIチェーン上で代表的なDEXのひとつがScallopです。スワップ(トークンの交換)だけでなく、レンディング(貸出)やボローイング(借入)といったDeFiサービスをひとつのプラットフォームで利用できるのが特徴です。ここでは、実際にScallopを使って取引を行い、その内容を確認してみます。アカウントの準備・接続Scallopを利用するには、まずSUIチェーンに対応したウォレットを準備し、接続する必要があります。有名なものとして Siush や Martian Wallet などがあり、ブラウザ拡張機能をインストールして使用します。ウォレットの準備ができたら、Scallop公式サイトにアクセスし、ウォレットを接続します。トークンのスワップDeFiにおける最も基本的な機能が「スワップ(トークン交換)」です。Scallopでも、SUIをはじめとするさまざまなトークンを簡単に交換することができます。例えば、SUI → USDC のように、ガス代を支払いつつ即座に交換可能です。取引の流れ画面上部のメニューから 「スワップ」 をクリックします。次に、支払う通貨と受け取る通貨を選択し、数量を入力します。内容を確認したら「○○経由でスワップ」ボタンを押してトランザクションを承認すると、交換が実行されます。トランザクションの確認スワップを実行すると、SUIチェーン上でトランザクションが発生します。これを確認するには、ブロックチェーンエクスプローラー「SUI Scan」を利用します。ウォレットアドレスや取引ID(Tx Hash)を入力することで、以下のような情報を確認できます。取引日時送受信したトークンの種類と数量手数料(Gas Fee)トランザクションのステータス(成功/失敗)上記の取引だと以下のような情報が確認できます。取引日時2024年4月15日 UTC 00:12送受信したトークンの種類と数量-36.23SCA => +25.55SUI手数料0.006095916SUIトランザクションのステータスSuccess損益の計算方法の解説スワップによる損益は、取得原価と交換(売却)時点の評価額との差によって計算されます。今回のスワップでは、36.23 SCAを支払い、25.55 SUI(約4,600円相当)を受け取りました。仮に事前に50 SCAを8,500円で購入していた場合を考えてみましょう。取得単価は8,500円 ÷ 50 SCA = 170円/SCAとなります。これをもとに、今回売却した36.23 SCAの取得原価は36.23 SCA × 170円 = 6,159円です。対して受け取った25.55 SUIの評価額は4,600円であるため、4,600円 - 6,159円= 1,559円の損失となります。つまり、この取引では SCAを売却したことにより損失が発生していることが分かります。受け取った25.55 SUIは「4,600円で取得した資産」として記録され、次回以降の売却やスワップ時に新たな取得原価として利用されます。トークンの貸出Scallopでは、保有しているトークンを預け入れ、他のユーザーに貸し出すことで利息を得ることができます。いわゆる「レンディング」と呼ばれる仕組みで、銀行預金の利子のように定期的に報酬が発生します。貸し出した資産はスマートコントラクトにロックされ、その見返りとして利息が付与されます。利回りはプールの需給によって変動するため、人気のある通貨は比較的利率が低く、ニッチな通貨は高利回りになる傾向があります。取引の流れ画面上部の「貸出」 をクリックし、レンディングプールから貸出をしたい通貨を選びます。次に 「供給」 をクリックして数量を入力し、取引を承認すれば貸出が完了します。また、貸出しているトークンを引き出す際は、対象通貨の「引き出す」をクリックし、数量を指定して承認すると引き出しが行えます。トランザクションの確認貸出や引き出しを行うと、それぞれがSUIチェーン上のトランザクションとして記録されます。SUI ScanでトランザクションID(Tx Hash)を確認することで、以下の情報をチェックできます。取引日時貸し出した、または引き出した通貨の種類と数量支払ったガス代(手数料)トランザクションのステータス(成功/失敗)貸出時には「供給した数量」が、引き出し時には「戻ってきた数量」がそれぞれ記録され、履歴として残ります。実際のトランザクションで確認してみましょう。以下は貸出した時のトランザクションです。上記の取引では以下の情報が確認できます。取引日時2024年4月15日 UTC 08:15貸し出した通貨の種類と数量402.94AFSUI※手数料0.007532456SUIトランザクションのステータスSuccess※Scallopでは、貸出した通貨の代わりに「sトークン」が発行されます。ここでは、402.94 AFSUIを預けると、402.61 sAFSUIを受け取り、引き出す際にこのsトークンを返却する仕組みになっています。次に、引き出しした時のトランザクションも確認してみましょう。取引日時2024年10月03日 UTC 07:56引き出した通貨の種類と数量419.17AFSUI手数料0.004328644SUIトランザクションのステータスSuccessこのように、貸出と引き出しの両方をオンチェーンで追跡できるため、取引内容を後から正確に把握することが可能です。損益の計算方法の解説今回の貸出取引では、402.94 AFSUIを預け入れ、引き出し時には419.17 AFSUIを受け取りました。この差分16.23 AFSUI(=419.17 − 402.94)が利息として付与された部分にあたります。引き出し時点でのAFSUIの価格を1 AFSUI=279円とすると、利息部分の評価額は16.23 AFSUI × 279円 = 4,527円となります。この4,527円が今回の貸出によって得られた利益となります。トークンの借入トークンの借入(ボローイング) とは、担保を差し入れて別の通貨を借りる仕組みです。Scallopでは、保有している暗号資産を担保として預けることで、他のユーザーから流動性を借りることができます。例えば、SUIやAFSUIを担保にUSDCを借りる といった利用が可能です。借り入れた通貨は自由にスワップや送金などに使うことができ、資産を売却せずに流動性を確保できる点がメリットです。ただし、借入には以下の注意点があります。担保率の維持が必要:借入額に対して担保の価値が一定割合を下回ると、清算(強制返済)が発生します。利息が発生する:借入中は利用した分に応じて金利が発生し、返済時に元本と利息を合わせて支払う必要があります。損益が発生する可能性:借入そのものでは損益は発生しません。ただし、返済時に利息を支払った場合には、その利息分が損益として扱われます。一方で、借入した通貨を現物資産と混在させて売買に利用した場合には、「どの部分が借入分で、どの部分が現物分か」を区別できないため、単純に利息だけを計算に切り出すことができません。そのため、後に紹介するクリプトリンク上では、借入分については便宜的に「借入=時価で購入」として取得原価を設定し、返済時には「返済=時価で売却」とみなし、その差額を損益としています。このように、トークンの借入は「資産を保有したまま別の通貨を活用できる便利な仕組み」である一方、「担保割れ」のリスクと返済時に発生する利息の負担を理解したうえで利用することが大切です。取引の流れ画面上部の 「貸出」 をクリックし、表示されたメニューの中央部分を 「借入」 に切り替えます。借入を行うためには、まず担保として利用する暗号資産を預ける必要があります。担保にしたい通貨の 「預入」 をクリックし、数量を指定して預け入れを行います。担保の設定が完了したら、画面を 「担保プール」から「借入プール」へ切り替え、借入したい通貨を選びます。希望する数量を入力して 「借入」 をクリックすれば、借入が実行されます。また、借入した通貨を返済する場合は、対象の通貨を選択し、「返済」 をクリックして数量を指定すれば返済手続きが行えます。トランザクションの確認借入や返済を行うと、それぞれがSUIチェーン上のトランザクションとして記録されます。実際にSUI Scanで確認すると、次のような内容が表示されます。取引日時借入または返済した通貨の種類と数量支払ったガス代(手数料)トランザクションのステータス(成功/失敗)実際の取引を確認してみましょう。以下は借入したトランザクションになります。上記の取引では以下の情報が確認できます。取引日時2024年4月23日 UTC 01:54借入した通貨の種類と数量34.67SCA手数料0.040788352SUIトランザクションのステータスSuccess次に返済したトランザクションを確認してみましょう。この取引では以下の情報を確認することができます。取引日時2024年4月26日 UTC 00:24借入した通貨の種類と数量34.79SCA手数料0.002024584SUIトランザクションのステータスSuccessこのように、借入と返済はトランザクションとして記録されるため、資産の動きをオンチェーンで正確に確認することが可能です。損益の計算方法の解説今回の取引では、2024年4月23日に34.67 SCAを借入し、4月26日に34.79 SCAを返済しています。暗号資産の借入については、借入そのものでは損益は発生しません。返済時に元本よりも多く返済した部分(=利息分)があれば、その差額を損益として計上します。ただし、取引の過程で借入した通貨を現物資産と混在させて売買に利用した場合には注意が必要です。このようなケースでは、借入した通貨が現物資産と混在して売買に利用されるため、「どの部分が借入分か」を区別できません。その場合、借入分にも取得単価を設定する必要があり、利息部分だけを切り分けて扱うことが難しくなります。そのため、クリプトリンク上では便宜的に以下の処理にて計算を行っております。借入 = 時価で購入返済 = 時価で売却この処理によって、返済時の差額を損益として計算することが可能になります。(返済時レート ×返済数量34.79 SCA) − (平均取得単価 × 返済数量34.79 SCA)つまり、基本的には「借入では損益は発生せず、返済時の利息分が損益となる」が、正確な区分が難しい場合には便宜的に時価購入・売却とみなして処理することもある点に注意が必要です。クリプトリンクでSUIチェーンの取引を登録してみたここまで見てきたように、SUIチェーンではスワップや貸出、借入などさまざまな取引が行えます。しかし、そのすべてを手作業で損益計算しようとすると非常に手間がかかり、記録ミスのリスクも高まります。そこで役立つのが、暗号資産の自動損益計算サービス「クリプトリンク」です。クリプトリンクは国内特許を取得しており、取引所やウォレットからデータを自動取得して、正確な損益計算を行えるのが特徴です。さらに、SUIチェーンに国内で初めて対応したサービス でもあります。これにより、これまで手作業や自作スプレッドシートで管理せざるを得なかったSUIチェーンの取引も、クリプトリンクを利用することで効率的かつ正確に管理できるようになりました。その他のDeFiやNFTにも対応しているため、SUIチェーンのような新しいエコシステムでの取引管理にも活用できます。1.クリプトリンクにログイン後、メニューから「ウォレット/DeFi取引」を選択し、「登録済みウォレット一覧」 をクリックします。2.「表示用ラベル」と「(ウォレット)アドレス」を入力します。その後、「自動取得」に切り替え、「自動取得するチェーン」 で Sui を選択し、「取得開始日時」 を入力して登録します。3.データを取得すると、実際の取引履歴が一覧で表示されます。内容を確認し、問題なければ登録を行います。4.貸出やステーキングなど複数のトランザクションが関連する取引では、「ペア選択」をクリックし、対象となる取引ペアにチェックを入れて登録する必要があります。このように、クリプトリンクを利用すれば SUIチェーン上の複雑な取引も自動で取得・整理でき、損益計算まで一貫して行うことが可能です。特に貸出や借入のように複数のトランザクションが関わる取引では、ペア選択による正確な登録が重要になります。まとめ今回の記事では、SUIチェーンの概要から、実際にDEX「Scallop」を利用したスワップ・貸出・借入の体験、そしてトランザクションの確認や損益計算の方法までを整理して紹介しました。SUIチェーンは、従来のブロックチェーンに比べて高速処理や低手数料といった強みを持ち、DeFiやNFTといった領域での活用が着実に広がっています。特にScallopのような複合型DEXでは、単なるトークンの交換にとどまらず、貸出による利息収入や借入による流動性確保など、実際の金融取引に近い仕組みを誰でも利用できる点が大きな魅力です。一方で、こうした取引には損益計算上の注意点もあります。スワップでは売却したトークンに損益が発生します。貸出では利息として受け取った分の通貨が所得となります。借入そのものでは損益は発生しません。ただし、返済時に利息分があれば、その分が損益として扱われます。一方で、取引の過程で借入した通貨を現物資産と混在させて利用した場合には、「どの部分が借入分か」を切り分けて計算することが難しくなります。そのため、便宜的に「借入=時価で購入」「返済=時価で売却」とみなし、その差額を損益として計算する方法が採用されることもあります。取引が増えるほど記録や計算は複雑になり、手作業で正確に管理するのは困難です。そこで役立つのが自動損益計算サービス「クリプトリンク」です。ウォレットを接続するだけでSUIチェーンの取引を自動取得し、複数のトランザクションが関わる貸出やステーキングも「ペア選択」で整理できます。これにより、効率的かつ正確に損益を管理し、確定申告や会計処理にも安心して対応することが可能になります。今後SUIチェーンは、国内外の取引所での取り扱い拡大やエコシステムの成長に伴い、さらに注目を集めていくと考えられます。投資や利用を検討する際には、魅力だけでなくリスクや税務上のルールも理解したうえで、ツールを活用して適切に管理していくことが大切です。関連記事【3分でわかる】DeFi(分散型金融)とは?特徴やメリットデメリットを簡単にまとめてみたソラナ(Solana)の損益計算はどうやるの?簡単に計算できる方法を画像付きで解説