暗号資産の取引では、価格の変動だけでなく、取引所ごとに異なるデータ形式や表示方法に対応する必要があり、収支の把握には一定の手間がかかります。たとえ少額の取引であっても、確定申告などの税務対応を行うためには、正確な損益の算出が欠かせません。今回ご紹介する「BACKSEAT(旧coinbook)」は、アイドル支援トークン「NIDT」のIEOを通じて注目を集めた取引所で、現在は ADAとNIDTの2銘柄を取り扱っています。シンプルな取引構成でも、損益を明確にしておくことが今後の運用判断や申告に役立ちます。本記事では、以下のステップで、BACKSEATにおける収支の確認方法を丁寧に解説します。BACKSEATの基本情報と取引所の特徴取引履歴データの取得方法と見方総平均法・移動平均法による手計算の手順自動損益計算ツール「クリプトリンク」の活用方法損益計算をこれから始める方にも、すでに確定申告を見据えて準備を進めたい方にも役立つ内容です。この記事の要約BACKSEAT(旧coinbook)は、IEO銘柄を扱う国内の暗号資産取引所ADAやNIDTなど特定銘柄に特化した取引サービスを展開取引履歴の取得方法とCSVデータの構成(取引・入出金・ステーキング)を詳しく解説総平均法・移動平均法による損益計算の手順をステップごとに紹介自動損益計算ツール「クリプトリンク」を使った効率的な集計方法も解説BACKSEAT(旧coinbook)とはどんな取引所?BACKSEATは、もともと「coinbook(コインブック)」として運営されていた暗号資産取引所で、2025年2月に株式会社BACKSEATが全株式を取得し、同年4月に「BACKSEAT暗号資産交換業株式会社」へと社名変更されました。関東財務局に登録された正規の暗号資産交換業者(登録番号:関東財務局長 第00026号)として、法令に基づいたサービスを提供しています。現時点で取り扱っている通貨は ADA(カルダノ)とNIDT の2種類に限られており、比較的シンプルなラインナップが特徴です。なお、過去には「NIDT(Nippon Idol Token)」のIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)も実施しており、特定プロジェクトとの連携によるトークン提供にも対応しています。IEOとは、取引所が主体となって暗号資産プロジェクトのトークン販売を行う仕組みで、投資家は取引所を通じて新規発行されたトークンを購入できます。BACKSEATの取引履歴データのダウンロード方法とは?損益計算を行うためには、まず取引履歴データをCSV形式でダウンロードする必要があります。BACKSEATでは、以下の手順で現物取引の履歴を取得することができます。STEP1 公式サイト(https://backseat-exchange.com)にアクセスし、メールアドレスとパスワードでログインします。ログイン後、画面右上の「資産管理」から「取引レポート」をクリックします。STEP2表示されたメニューから「取引報告書」をクリックします。STEP3「月指定」で、取引を行った月を選択し、CSVファイルをダウンロードします。※取引を行った月が複数ある場合は、すべての月のデータを取得しておきましょうBACKSEATの取引データの見方を解説ダウンロードしたCSVファイルには、損益計算に必要な情報がまとめられています。BACKSEATの履歴ファイルは、1つのシートの中に「取引明細」「入出金明細」「ステーキング報酬」の3種類のデータが縦方向にまとめて記載されている形式です。それぞれのデータは、ヘッダー(項目名)によって区切られており、区別しながら損益計算に活用していく必要があります。以下で、各セクションの見方を簡単に紹介します。【取引明細】現物の売買に関する詳細が記録されています。損益計算の中心となるのがこのデータです。項目名内容約定番号注文の一意識別番号通貨ペア例:NIDT/JPY、ADA/JPY など売買「買」または「売」約定日時実際に注文が成立した日時約定数量購入または売却した通貨の数量約定価格(円・暗号資産)約定時の価格受渡代金(円・暗号資産)約定数量 × 約定価格(実際に動いた金額)手数料(円・暗号資産)売買にかかった手数料額この明細をもとに、あとで総平均法または移動平均法による損益計算を行っていきます。【暗号資産送受明細/入出金明細】外部ウォレットとのやりとりや、日本円の入出金に関する履歴です。通貨の出入りを確認するために使いますが、売買損益の計算対象には含めないことが一般的です。項目名内容通貨ADA、NIDT、JPY など入出金番号それぞれの取引の識別番号日時入金または出金が処理された日時科目入金・出金の種類(例:送金、資金移動など)入金額/出金額各処理で移動した金額手数料移動にかかった手数料(該当する場合)【ステーキング報酬】ステーキングによって受け取った報酬が記録されている明細です。報酬として受け取った通貨は、その受取時点の時価で所得と見なされるため、課税対象になります。項目名内容通貨報酬として受け取った通貨名入金日時報酬が付与された日時入金額(暗号資産)受け取った数量(単位:通貨)この報酬明細も、取得時点のレートと照らし合わせて損益化する必要があります。このように、1つのCSVファイルに複数の情報がまとまっているため、どのデータが何の目的で使われるのかを把握しておくことが重要です。手計算をして損益を確認する取引履歴が揃ったら、実際にBACKSEATでの損益計算を進めていきましょう。ここでは、上記のダウンロードした現物取引の履歴を使って、「総平均法」と「移動平均法」の2通りの計算手順を紹介します。それぞれの方法の違いや特徴を把握して、自分に合った方法を選ぶ参考にしてください。1. 総平均法の場合総平均法は、ある期間内に購入した暗号資産の平均取得単価を算出し、それをもとに売却時の損益を計算する方法です。計算がシンプルで、年間でまとめて管理したい方に向いています。総平均法の計算式損益額 = 売却総額 −(平均取得単価 × 売却数量)Step 1:関連する数値を抜き出すまずは、購入した通貨の「数量」と「取得金額」を取引明細から抜き出します。約定番号売買約定数量受渡代金(円・暗号資産)3001買10,000100,0003002買15,000180,0003004買20,000230,000合計45,000510,000同様に、売却時の「数量」と「売却金額」も抽出しましょう。約定番号売買約定数量受渡代金(円・暗号資産)3003売8,000108,0003005売12,000153,600合計20,000261,600Step 2:各項目の合計を算出する抜き出した数値を使って平均取得単価、売却総額、売却数量を求めます。平均取得単価= 購入金額の合計(510,000円) ÷ 購入数量の合計(45,000NIDT)=11.3円売却総額= 売却金額の合計(261,600円)売却数量= 売却した通貨の合計数量(20,000NIDT)Step 3:損益額を算出する先ほどの数値を用いて、総平均法の計算式にあてはめて損益額を求めます。損益額 = 売却総額(261,600円) −(平均取得単価(11.3円) × 売却数量(20,000NIDT))=34,933円となり、34,933円の利益がでていることが分かります。2. 移動平均法の場合移動平均法は、売買のたびに平均取得単価を更新していく方式です。売却するたびに損益が発生するため、売買ごとの“差額”で利益を感じている投資家の実感値に近いという特徴があります。移動平均法の計算式売却が行われるたびに以下の式で損益が発生します。損益額 = 売却金額 −(その時点の平均取得単価 × 売却数量)Step 1:関連する数値を抜き出す取引履歴から、売買の順番に沿って「数量」「金額」を抽出し、取引ごとに保有状況を更新していきます。約定番号売買約定数量受渡代金(円・暗号資産)保有しているNIDT保有しているNIDTの取得額平均取得単価3001買10000100,00010,000100,00010.03002買15000180,00025,000280,00011.23003売8000108,00017,000190,40011.23004買20000230,00037,000420,40011.36216…3005売12000153,60025,000284,05411.36216…各列の見方約定番号/売買/約定数量/受渡代金→ 実際の取引明細から転記した基本情報です。保有しているNIDT→ 各取引後に保有している暗号資産の数量です。 買いの場合は加算、売りの場合は減算されます。保有しているNIDTの取得額→ 売買後に保有しているNIDTの取得総額(円)を示します。 売却時には「売却数量 × 平均取得単価」を取得額から差し引いています。平均取得単価→ 保有しているNIDTの1単位あたりの取得価格です。 買いのたびに「取得額 ÷ 保有数量」で再計算し、売却時には変わりません。このように取引を時系列で追いながら表を作ることで、売却時の損益を正確に計算するための準備が整います。Step 2:各売却明細の損益を算出する次に、売却が行われたタイミングごとに損益を計算していきます。移動平均法では、売却時点での平均取得単価を使って損益を算出します。損益の計算式は先ほど説明したとおり以下の式で求めていきます。損益額 = 売却金額 −(その時点の平均取得単価 × 売却数量)それでは、今回の例に含まれている2つの売却取引を使って、実際に損益を算出してみましょう。✅ 約定番号:3003 の売却(2025/05/05)売却数量:8,000 NIDT売却単価:13.5 円売却金額:108,000 円売却時点の平均取得単価:11.2 円損益額 = 108,000 −(11.2 × 8,000)= 108,000 − 89,600 = 18,400 円の利益✅ 約定番号:3005 の売却(2025/05/10)売却数量:12,000 NIDT売却単価:12.8 円売却金額:153,600 円売却時点の平均取得単価:11.36216…円損益額 = 153,600 −(11.36216… × 12,000)= 153,600 − 136345.92 = 17,254 円の利益このように、移動平均法では売却のたびに損益を算出し、それぞれの損益を積み上げていく形になります。Step 3:損益額を算出する最後に、Step 2で計算した売却ごとの損益を合計して、今回の取引全体における損益額を算出します。これまでに計算した損益約定番号3003の売却:18,400円の利益約定番号3005の売却:17,254円の利益トータル損益の計算18,400円 + 17,254円 = 35,654円の利益このように、移動平均法では売却のたびに損益を計算し、それを合計することで年間の損益が求められます。移動平均法は一つひとつの取引に対応した損益を把握できるため、実感値に近い損益を把握したい方には有効な方法です。ただし、取引数が多くなると計算が煩雑になるため、専用の損益計算ツールを活用するのがおすすめです。クリプトリンクの損益計算ツールで損益を確認する手計算は損益の仕組みを理解するうえで有効ですが、取引件数が増えると計算や管理の負担が一気に大きくなります。BACKSEATでは、売買だけでなく送金やステーキング報酬のような明細も含まれるため、ミスなく整理するには専用のツールを使うのがおすすめです。そこで活用したいのが、仮想通貨の自動損益計算ツール「クリプトリンク」です。ファイルをアップロードするだけで損益を自動計算BACKSEATからダウンロードした「取引報告書(CSVファイル)」をそのままアップロードするだけで、売買・入出金・ステーキングなどの履歴をまとめて読み取り、自動で損益を計算してくれます。日本の税制に対応した「総平均法」や「移動平均法」から選択可能で、難しい設定は不要です。誰でも迷わず使えるシンプルな設計取引明細をアップロードするだけで計算が完了するため、操作に不安がある方でも簡単に使えるのが魅力です。収支計算報告書は確定申告にも活用可能自動で作成される「収支計算報告書」は、確定申告時に提出書類の根拠資料として利用できます。PDF形式で保存・印刷できるため、税理士に渡す資料としても便利です。手間をかけずに正確な集計をしたい方におすすめ「複数の通貨を売買していて、手計算では追いつかない」「入出金やステーキングの扱いに迷っている」「集計を効率化し、申告ミスを防ぎたい」といったお悩みをお持ちの方には、クリプトリンクの自動計算ツールの利用が最適です。それでは、実際にBACKSEATの取引データを使って、 手計算とクリプトリンクによる損益計算の結果を比較してみましょう。今回は「総平均法」と「移動平均法」それぞれで検証しています。総平均では、となり、先ほど計算した結果と損益が一致していることが分かります。また移動平均でもと計算結果が一致していることが分かります。まとめBACKSEAT(旧coinbook)は、限られた銘柄を取り扱うシンプルな構成の取引所で、IEO実績もある一方、取引履歴の構造がやや独特なため、損益計算を行う際には慎重なデータ整理が求められます。BACKSEAT(旧coinbook)は、IEO銘柄の取り扱いや堅牢なセキュリティ体制を持つ取引所ですが、取引履歴の構造がやや特殊なため、損益計算では丁寧な処理が求められます。本記事で紹介したように、取引履歴の正しい読み取り総平均法・移動平均法による手計算の流れ自動損益計算ツール「クリプトリンク」の活用といったステップを踏むことで、正確な収支の把握が可能になります。特に、移動平均法のように都度の平均単価を更新する計算方法では、手計算だと煩雑になりやすい点もツールを使えばスムーズに処理できます。確定申告に向けて準備を進めている方はもちろん、今後の投資判断に向けて現状の損益を整理しておきたい方にも、この記事の内容を活かしていただければ幸いです。関連記事BTCBOXの取引明細から損益を正確に計算する方法とは?手計算とツールを徹底比較!SBIVC Tradeの仮想通貨取引の損益計算をラクに!Excel手計算と自動計算ツールで比較してみた